北海道立近代美術館で行われている東山魁夷”唐招提寺御影堂障壁画展”に行ってきました。

東山魁夷とは日本を代表する風景画家のひとりで、僕も「写真を学ぶ上で東山魁夷の絵はとても参考になるから見ておいた方がよい。」と言われたくらいです。

東山魁夷の世界という画集
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東山魁夷の絵を見たのは「東山魁夷の世界」という画集がはじめてで、色で明暗を表現したり、霞ませて遠近感をつける表現など多くのことを学ばせていただきました。

なかでも唐招提寺の障壁画はこの小さな画集でもとてもインパクトがあって、実物はどんな感じなんだろう??と想像を膨らませていたくらいなので、この展覧会はとても楽しみでした。

今回、展示される主な絵は北海道道立近代美術館のページで見ることができます。
小さい絵ですが、僕はこの位の絵から想像を膨らませていました(笑)

唐招提寺御影堂の中の再現がスゴイ!!

残念ながら北海道道立近代美術館の展覧会場の中は撮影禁止なので、中の様子をお見せすることはできません。

公式のTwitterで中の様子が公開されていました。
入り口から入ってスグに見られる濤声(とうせい)という作品です。

ただ会場に入って驚きました。

唐招提寺御影堂の障壁画はふすまに描かれているのが主なので、最初はふすまだけを奈良から持ってきて展示しているのかな??と思っていました。

ですが驚くことに、ふすまは壁におさめられて、お寺の部屋の中を再現した形で展示されています。

近くにいた学芸員の方にお話を聞くと、この東山魁夷展は全国を巡回して行われているのですが、この展覧会のために柱や釘隠し・畳のミミの模様まですべて唐招提寺御影堂に似せて作ったとのことです。

これには実際の唐招提寺を見てみたいと思っていたので、とてもありがたかったです!!入り口はいってすぐの所に濤声(とうせい)という作品があるのですが、その迫力に圧倒されるでしょう。

障壁画の下絵や設計図までみられる

よく「優れたアーティストは完成イメージが優れている」と言われます。
そして東山魁夷ももれなく、その一人でした。

展覧会では障壁画になるまえの絵(展覧会では小下図と紹介されています。設計図と言ってもいいでしょう)も展示されていました。

柱を書いて壁全体をイメージしてふすまに描かれた障壁画の見本図もありましたし、障壁画を建築物とも捉えていたのでしょうか?製図のように細かい構図の線の上に下書きされていた絵もありました。

とくに試作と呼ばれる下絵の段階では、普通の画家なら完成品ですと言ってもいいくらいの仕上がりで、この段階で障壁画にする絵の表現が可能かどうかを見定めるていたことが伺えます。

障壁画が完成するまでの10年の歳月の一部を垣間見ることができる貴重な体験でした。

会場で販売されている画集もよかったです

じつは当初、この展覧会で障壁画の下絵まで見ることができなんて思ってもいませんでした。

もう感激のあまり近くにいた学芸員の方に「すみません!作品の写真を撮ることが出来ないのは重々承知しているのですが、割出図の写真を撮らせていただけませんか??」とダメ元で聞くくらいでした。(^^;;

まぁ回答はもちろんダメだったのですが、ひとつ嬉しい誤算があって会場で売られていた画集の中に、割出図・小下図・中下図・試作までの全てが収録されていました。

東山魁夷の北海道道立近代美術館で販売されていた画集

この展覧会に行って感動された方は、画集もオススメです!!

展覧会の後期にも行ってきました

7月4日から始まった後期の展覧会にも行ってきました。

前期との違いは出口付近にある絵画が、東山先生の違う作品と入れ替わっています。

前期に障壁画に感動して、東山先生の他の作品も見てみたいという方は楽しめると思います。
その際、前期の時のチケットの半券を持って行くとリピート割りが適用されて、通常より少し安く入場できるので、まだ持っている方は半券を持って行くといいですよ。

ほかには売店近くで巨大な作品が展示販売されていました。

その巨大さゆえに迫力もさながら、お値段も600万とスゴイ値段でしたが…(^^;;

ふだん生活していて、実際に売られている高額な絵を見る機会が中々ないので、僕としてはとても貴重な経験でした。

おわりに

東山魁夷展の期間は7月28日までです。

前期・後期共に行った感想としては、「実際に唐招提寺にも行ってみたい」と思えるくらい良かったです!!

美術館に展示されているのとは違って、また別の見方ができそうかな??って興味がわきました。

興味のあるかたは、期間内に道立近代美術館に行くのをオススメします!!